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錯覚。
その日はミカちゃんと慶ちゃんと3人で買い物に行って
そのままおでん屋さんに飲みに行った。
東京から来た慶ちゃんには珍しい食材がいくつかあったみたいで
いつも以上に彼はハイテンションで焼酎を飲んでた。

時間もかなり遅くなってから、私たちはワインバーへ移動。
そこに前回も登場のスペインバーオーナーのKさんと友達が合流して
5人で飲み始めた。


Kさんの連れてきた友達というのが、慶ちゃんと同じように
東京でデザイン関係の仕事をしていた人。
それもあって話がかなり弾んでてお酒も進んで楽しそうだった。

その後Kさんのお友達が先に帰り、Kさんはつぶれ
ミカちゃんと私と慶ちゃんだけが無事だったのだけど。

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ミカちゃんに話しかけられて若干左の方に体を向けて話をしていた私の右肩に
ゆっくりと、重みと温もりが伝わってきた。

慶ちゃんが、私の右肩で寝てしまった。
とんでもない至近距離でみる、あの顔。
右頬に微かに触れる髪の毛先。
心臓のあたりがきゅーって苦しくなった。

普段あくまでもしっかりした一面しか見せなかった慶ちゃんの意外な姿
ミカちゃんは面白がって、そんな私たちの姿をケータイで撮影すると
私にその写真を「マジウケるー!」なんて笑いながら見せてきた。
慶ちゃんには心から愛する奥さんがいて
私には哲哉くんがいて
だからミカちゃんもその場を茶化す事くらいしか考えてなかったんだと思う。

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前にも、こんな写真を撮られた事があった。
とてもよく似た顔の、大好きだった人と。

今思えばこの瞬間が
極端な言い方をすれば、大好きだったあの人と「似てるだけ」のはずの人が
「ダブって見える人」へと変化したまさにその時だったのかもしれない。

似てるだけの人。

わかってる。
わかってても。

それはまるで、あの時手を離すしかなかった運命の恋を
必死に手繰り寄せるような感覚だった。


目を覚ました慶ちゃんは復活して話に加わり
その後時間もかなり遅くなって帰ることになった。
全く起きる気配のないKさんを連れて帰るから先にいいよ、とミカちゃんに言われ
家が近所の私と慶ちゃんは先に出る事にした。

お店の出口は一直線の急な階段下り。
私の一歩前を歩く慶ちゃんは、ピンヒールの私を気遣って
一段降りたところで左手を私に差し出した。
私は慶ちゃんの手を握って階段を降りる。
すごく、頼もしく感じた。
私がフラついても、しっかり受け止めてくれそうな気がした。

階段を降りて、一旦は手を離したのだけど
慶ちゃんは改めて私に左手を差し出した。
「私は大丈夫だよぅ。」
私は笑ってごまかそうとしたのだけど
「ほら、早く!」
慶ちゃんはそういうふうに私を急かす。
それでもなお躊躇する私の右手を、慶ちゃんは強引に掴むと
「結愛の手超冷てぇ。」
そんな事を言いながら恋人つなぎに持ち替えて
そのままジャケットの左ポケットに手を持っていった。

嫌がって、離す事なんてきっと簡単にできたんだろう。
でも私…

慶ちゃんは大きな大きな手で私の右手を優しく握ったまま
楽しそうに話をしている。

手を繋ぐ、という行為は、少なくとも好意の証。
兄妹だとか、友人だとか。恋人に限らずね。

私は都合の良い方、良い方へと解釈する事で
心の中に生まれる罪悪感みたいな奇妙な気持ちを必死に打ち消さなければならなかった。

私が見てるのは、目の前の慶ちゃんじゃない
慶ちゃんの向こう側に見える、大好きだった彼だ。

繋いだ手の温かさを、嬉しい、複雑、悲しい、いろんな感情で感じてた。

歩いて20分くらいかな、
私の住むマンションに着いて、私は慶ちゃんに送ってくれた御礼を言って
彼と別れて部屋に帰った。

玄関の鍵を閉めて、荷物を降ろした瞬間に力が抜けた。
私は右手に残る慶ちゃんの大きな手の温もりを確かめるように左手でなぞった。
しばらくそのまま動けなかった。
どのくらい経ってからだろう、
電気もつけずに静まり返った部屋の中に、ケータイの着信音が鳴り響いた。
サブディスプレイに表示されたのは「慶ちゃん」の文字。

「どうしたの?」
「どうしてるかなって思って。」
「ちゃんと部屋に着いたよ。」
「俺も。」
「ありがとね、送ってくれて。」
「俺を1人にしやがって。」
「ん?」

「時間が許すなら、結愛ともう少しだけでも一緒にいたかった。」

聞き間違えかと思った。
でも、間違いなんかじゃなかった。

私は無理やり笑って、必死に感情を隠してごまかして電話を一方的に切ってしまった。




「イッショニイタカッタ。」



その慶ちゃんの言葉を、私は頭の中で何度も何度も繰り返していた。
まるで、運命の彼が、その言葉を私に言ってくれたような気がして。


テーマ : 複雑な心。
ジャンル : 恋愛

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(非公開コメント受付中)

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結愛-YUE-

Author:結愛-YUE-
これまでの出来事は
コチラ
2010.4.26更新しました。

このブログに出てくる人については
コチラ
2010.3.18整理しました。

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